呼吸は人が生まれて最初に行う運動です。
そして唯一神経系にアプローチできる運動が呼吸になります。
呼吸によって自律神経の交感神経と副交感神経の働きをコントロールし、肩こりや腰痛の改善や睡眠の質の向上、内臓の働きやうつ病予防、摂食障害の予防などにも効果が見込めます。
呼吸と横隔膜
呼吸というと、腹式呼吸と胸式呼吸という言葉をよく耳にしますが、正しい腹式呼吸のやり方を取得することが重要になります。
腹式呼吸はお腹が膨らむ呼吸で、胸式呼吸は胸(胸郭)が膨らむ呼吸になりますが、空気は肺に入ります。
腹式呼吸では肺が膨らむようにするために、横隔膜が下がり肝臓や胃などの内臓が横隔膜に押し出されることによってお腹が膨らむ呼吸になります。
この横隔膜の動きが非常に重要になってきます。
横隔膜の動きが悪い場合は、胸式呼吸になり、胸(胸郭)を広げようとします。横隔膜が上手く下がらないので胸を膨らませようとします。
それにより肩での呼吸になり、肩こりや腰痛の原因になります。
呼吸は1日2万回程度していると言われます。1日肩で2万回も呼吸していれば、肩はこってきますし、横隔膜が下がってこないことで背骨(腰椎)が不安定になり、腰がグラグラになり腰痛につながります。
横隔膜が動かない理由としては、横隔膜が拘縮(緊張)してしまうというよりは、姿勢不良によって肋骨が開いてしまい横隔膜が拘縮(緊張)してくる状態になる場合が多いです。
ここで言う不良姿勢の一つに肋骨が開いてしまうというリブフレアが挙げられます。
リブフレアとは肋骨角が91°以上開いていることを言います。
リブフレアの状態では肋骨に付着している横隔膜も上に上がってしまうので肋骨の動きも悪くなってきます。そして呼吸が浅くなってきます。
横隔膜も筋肉なので疲れできます。マラソンなので息が上がってくると肩での呼吸に変わってくるのはそのためです。
安静時の呼吸は胸式呼吸も腹式呼吸も両方できていて横にも前後にもバランスよく膨らんでいく呼吸ができることが理想だと考えられます。
問題なのは、比較的難しい腹式呼吸・横隔膜のコントロールを意図的にできることが重要になります。
コアを高める
コアを高めるということは、腹腔内圧を高める=お腹の内圧を高めるということです。
コアを高めるということは、身体を安定させることにつながります。
身体が安定しないと姿勢も歪み悪くなってきます。
コアを高めることに重要になるのが呼吸です。
息を吸って、お腹をパンパンに膨らんでいる状態のことをブレーシングと言います。
反対に、息を吐ききってお腹がへこんでいる状態のことをドローインと言います。
ブレーシングで最も使う筋肉が横隔膜。
ドローインで最も使う筋肉が腹横筋になります。
この2つの筋肉は腰椎の安定性を高める上でも重要な筋肉になります。
腰椎の下部(腰椎4番・5番)は、筋肉の付着が弱く、少ない部位です。
腰椎に付着している大腰筋・腰方形筋・横隔膜の3つの筋肉は付着している部位(起始部)が重なっていて、3つの筋肉が連結していて一緒に付着している形になります。そして3つの筋肉で背骨を守っているというイメージになります。
腹式呼吸をしているだけでも横隔膜が刺激されて、それによって背骨・脊柱が安定してきます。
腹横筋は直接腰椎には付着していませんが、骨盤から肋骨に付着をしていて、横隔膜や大腰筋と繋がっていて腰椎を守る働きもあり、肋骨から骨盤に付着していることから、腹横筋の筋活性は肋骨が開いてしまっているリブフレアの改善に効果的です。
スタビリティとモビリティ
スタビリティ=安定性
モビリティ=可動性
人間の身体の関節には、この2種類に分けられます。
スタビリティ関節とモビリティ関節
スタビリティ関節
- 腰椎
- 肩甲胸郭関節(肩甲骨)
- 頸椎(首)
- 肘関節
- 膝関節
- 足部
モビリティ関節
- 股関節
- 胸椎
- 肩関節
- 手関節
- 足関節(足首)
この中で特に重要なのが、
スタビリティ関節では腰椎、
モビリティ関節では胸椎・股関節です。
胸椎の動きが少ないと上半身の回旋動作を胸椎で行えず、
代わりに腰椎を動かしてしまい、体幹の不安定につながってしまいます。
このように腰が不安定になり、腰痛を起こす原因になります。
本来は胸椎を回したいけれど、胸椎が回らないから腰で回ってしまったり、
股関節が回らないので腰で回ってしまい、腰を痛めてしまうということです。
多くの方が思うこととして腰は回るんじゃないの??と思われると思いますが、腰(腰椎)は回っても5~10°しか回りません。なので、ほとんど回らないです。
実際は胸(胸椎)と股関節で回ります。胸と股関節の可動域が悪いと腰を痛めやすくなります。
コアを高めるうえ腰椎のスタビリティを保つトレーニングすることは非常に重要です。それに加えて、モビリティが使えるようにならないと生活動作での改善につながりません。
コアを高めた状態で、他の部位を動かすようになることが重要になります。
呼吸の改善方法
横隔膜を施術し、ほぐすということもありますが、それに加えて、肋骨の可動性を出していく(肋骨を下げていく・ドローイン)、腹式呼吸でお腹を膨らませる(ブレーシング)を行う必要があります。
- 腹横筋の強化
- 正しい腹式呼吸の取得
- 肋骨の下制
の3つのアプローチから呼吸の改善をしていくということが大切になり、根本の改善を図っていきます。
呼吸時に働く筋肉
吸気(吸うとき) 安静時 横隔膜と外肋間筋
呼気(吐くとき) なし
努力吸気(意図的に吸うとき) 大胸筋、小胸筋、僧帽筋、肩甲挙筋、前鋸筋など
努力呼気(全力で吐くとき) 主に腹横筋でその他、外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋など
まとめ
ほとんどの人が胸式呼吸優先になっているので、腹式呼吸を行い、正しい腹式呼吸の獲得を図り、コアを高め、コアを高めた状態で、その他の関節の可動性を出していくことによって根本の改善につなげていきます。
もちろん背中の緊張により腰がそっているという場合なども他の原因も考えられますが、コアの獲得・腹式呼吸の取得をして、体幹を保ったまま、他の関節が動くようになることが大切になります。
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